漸化式の土台となる4パターンの解き方【等差型、等比型、階差型、特殊解型(特性方程式の利用)】

(注意) 【~型】はパターンを意識するためであり,当サイト独自の表現です。答案に書かないように。

漸化式の中でも土台となる $4$ パターンについて確認します。漸化式の応用問題は,変形や置き換えにより,このページで扱う $4$ パターンに帰着させる問題がほとんどです。「この形にさえすれば解ける」となるように,しっかり理解して解けるようにしておきましょう。前提として,「等差数列の一般項の求め方」「等比数列の一般項の求め方」「階差数列による一般項の求め方」が頭に入っている必要があります。

このページの目標
  • 土台となる漸化式 $4$ パターンを知る
  • 【等差型】【等比型】【階差型】が公式により瞬時に「解ける!」
  • 【特殊解型】を等比型に変形して「解ける!」(最重要!)

一般項の公式から瞬時に求める漸化式3パターン

【等差型】 $a_{n+1}=a_n+$ $d$
 公差 $d$ の等差数列

【等比型】 $a_{n+1}=$ $r$ $a_n$
 公比 $r$ の等比数列

【階差型】$a_{n+1}=a_n+$ $(n\text{ の式})$
 数列 $\left\{(n\text{ の式})\right\}$ が階差数列

これら3パターンは,初項さえ分かっていれば,公式を用いて瞬時に一般項が求められます。
上から順番に,等差数列,等比数列,階差数列を表しているのは分かるでしょうか。
具体的に見ていきます。

【等差型】 $a_{n+1}=a_n+d$

 「$d$ を足したら次の項」と読みとれるので公差 $d$ の等差数列を表しています。よって,等差数列の一般項の公式を使うだけ。

等差ス列の仕組み

$a_n=a_1+(n-1)d$

【等比型】$a_{n+1}=ra_n$

 「$r$ をかけたら次の項」と読みとれるので公比 $r$ の等比数列を表しています。よって,等比数列の一般項の公式を使うだけ。

初項に公比rをかけていくと一般項にたどり着く

$a_n=a_1\cdot r^{n-1}$

【階差型】$a_{n+1}=a_n+(n\text{ の式})$

 $(nの式)$ を $b_n$ とおけば,$b_n=a_{n+1}-a_n$ となって,$\left\{b_n\right\}$ は $\left\{a_n\right\}$ の階差数列。よって,階差数列から一般項を求める公式により $a_n$ が求まる。

階差数列と一般項

$n≧2\text{ のとき} a_n=a_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}{b_k}$

問題と解答(等差型,等比型,階差型)

【等差型】【等比型】【階差型】の3パターンについて,問題を見てみましょう。これらは,見てすぐ解けるようになるのは当然として,式の形で覚えるだけでなく,意味を理解して解けるようにしましょう。

問題(等差型,等比型,階差型)

 $n$ は自然数とする。次の条件によって定義される数列 $\left\{a_n\right\}$ の一般項を求めよ。
(1) $a_1=1$,$a_{n+1}=a_n+3$
(2) $a_1=4$,$a_{n+1}=2a_n$
(3) $a_1=0$,$a_{n+1}=a_n+4n^3$

解答(等差型,等比型,階差型)

【等差型】【等比型】【階差型】は公式から瞬時に解く!

(1) $a_1=1$,$a_{n+1}=a_n$ $+$ $3$ 【等差型】
 ( $3$ 足したら次の項→等差数列)

初項 $1$公差 $3$ の等差数列より

$a_n=1+(n-1)\times3$
∴ $a_n=3n-2$ (答)

(2) $a_1=4$,$a_{n+1}=$ $2$$a_n$ 【等比型】
 ( $2$ かけたら次の項→等比数列)

初項 $4$公比 $2$ の等比数列より

$a_n=4\cdot2^{n-1}$
∴ $a_n=2^{n+1}$ (答)

(3) $a_1=0$,$a_{n+1}=a_n$ $+$ $4n^3$ 【階差型】
 ( 階差が $n$ の式→階差数列から一般項)

数列 $\left\{4n^3\right\}$ が階差数列より

$n≧2$ のとき
$a_n=$ $a_1$ $+$ $\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}{4k^3}$
   $=0+4\times \left\{\displaystyle\frac{1}{2}(n-1)n\right\}^2$
   $=n^{2}(n-1)^2$
これは,$n=1$ のときも成り立つ
よって $a_n=n^{2}(n-1)^2$ (答)

漸化式における最重要パターン

【特殊解型】 $a_{n+1}=pa_n+q$

この型は,漸化式の中でも出題頻度が非常に高く,最も重要です。理解して素早く一般項を求められるようにして欲しいパターンです。

【特殊解型】$a_{n+1}=pa_n+q$ の考え方と例題

この形の漸化式は以下の手順で解きます。

① $a_{n+1}$ と $a_{n}$ を $\alpha$ と書き換えて
 特性方程式 $\alpha=p\alpha+q$
 の解 $\alpha$ を求める。(これを特殊解という)

$a_{n+1}-\alpha=$ $p$$(a_n-\alpha)$ と変形

$\left\{a_n-\alpha\right\}$ は(公比 $p$ の)等比数列として求める

(例題) $a_1=8$,$a_{n+1}=2a_n-3$ で定義される数列 $\left\{a_n\right\}$ の一般項を求めよ。

$\alpha=2\alpha-3$ を解くと $\alpha=3$

② 漸化式は
 $a_{n+1}-3=2(a_n-3)$ 【等比型】と変形できる

③ 数列 $\left\{a_n-3\right\}$
 初項 $a_1-3=8-3=5$
 公比 $2$等比数列より,
 $\left\{a_n-3\right\}$ の一般項は
 $a_n-3$ $=$ $5$ $\cdot$ $2^{n-1}$
 よって
 $a_n=5\cdot2^{n-1}+3$ (答)

①と②は機械的に行えば良いでしょう。ちなみに,①は答案に書かないように。③については式を理解して解き進める必要があります。ここも機械的に解いてしまう人がいますが,意味も分からず解いていると,応用問題で行き詰まります。以下のことをしっかり理解しよう。

$a_{n+1}-3=2(a_n-3)$

この式を見て $\left\{a_n-3\right\}$ が等比数列と読み取れるでしょうか。$a_n-3$ をひとかたまりと見れば,

数列{a_{n}-3}は公比3の等比数列

と読み取って,数列 $\left\{a_n-3\right\}$公比 $2$等比数列ということができます。
初項は $n=1$ としたものなので,$a_1-3$ である。 ($-3$ を忘れない)

これにより,一般項が求まりますが,今考えている数列は $\left\{a_n-3\right\}$ です。よって,$a_n$ ではなく$a_n-3$ が求まるので,忘れずに $-3$ を移項する。

教科書の場合 $a_n-3=b_n$ とおいて,
 $b_{n+1}=2b_n$
と書いてから,等比数列として求める場合が多いが,受験で数学を使う人は $b_n$ とおかずに解いて欲しい。

理解のため,次のような例も見てみましょう。

$a_{n+1}+2(n+1)+4$
  $=3(a_n+2n+4)$

という条件式が与えられたとき,$a_n+2n+4$ をひとかたまりと見れば,

数列{a_{n}+2n+4}は公比3の等比数列

数列 $\left\{a_n+2n+4\right\}$公比 $3$等比数列と読み取れる。(読み取れますか?)
この数列の初項は $(n=1\text{ を代入して})$ $ a_1+2\cdot1+4$ である。

問題と解答(特殊解型)

問題(特殊解型)

 $n$ は自然数とする。次の条件によって定義される数列 $\left\{a_n\right\}$ の一般項を求めよ。
  $a_1=3$,$a_{n+1}=3a_n+4$

解答(特殊解型)

$a_{n+1}=3a_n+4$

漸化式を変形して
$a_{n+1}+2=$ $3$$(a_n+2)$ 【等比型】
[$\alpha=3\alpha+4$ を解くと $\alpha=-2$]

よって,$\left\{a_n+2\right\}$ は,

初項 $a_1+2=5$公比 $3$等比数列より,

$a_n+2$ $=$ $5$ $\cdot$ $3^{n-1}$

したがって,$a_n=5\cdot3^{n-1}-2$ (答)

補足説明(特殊解型)

【特殊解型】は $\left\{a_n-\alpha \right\}$ の【等比型】で解く!

$\alpha=3\alpha+4$ を解くと $\alpha=-2$
[ここは答案に書かない]

この $\alpha$ の値を用いて

$a_{n+1}+2=3(a_n+2)$ 【等比型】

と変形できる。

符号に注意すること。
$a_{n+1}-(-2)=3\left\{a_n-(-2)\right\}$

変形さえできれば

数列{a_{n}+2}は公比3の等比数列

と読み取ればよい。
最終的に $a_n=5\cdot3^{n-1}-2$ と求まるが,念のため検算しておく。

$a_1=5\cdot3^0-2=5-2=3$ より
問題文の $a_1=3$ と一致する。

$a_2=5\cdot3^1-2=13$
もとの漸化式の両辺に $n=1$ を代入して
$a_2=3a_1+4=3\cdot3+4=13$
よって,$a_2$ も一致する。

漸化式において,このパターンが解けるかどうかで大きく差がつく。典型パターンの多くは,この型に帰着されるためである。この型が解けないことには何も始まらないので,しっかり理解して解けるようにして欲しい!

漸化式土台4パターンはこれで「解ける!」

【等差型】 $a_{n+1}=a_n+d$
【等比型】$a_{n+1}=ra_n$
【階差型】$a_{n+1}=a_n+(n\text{ の式})$
【特殊解型】$a_{n+1}=pa_n+q$

漸化式における土台4パターン
  • 【等差型】【等比型】【階差型】は公式から瞬時に解く!
  • 【特殊解型】は 特殊解 $\alpha$ を求めて $\left\{a_n-\alpha \right\}$ の【等比型】で解く!(最重要)
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