(注意)【~型】はパターンを意識するためであり,当サイト独自の表現です。答案などに書かないようにしてください。
ここでは,和 $S_n$ と一般項 $a_n$ が混在している漸化式の解き方について確認します。
【$S_n$ 混在型】和 $S_n$ と一般項 $a_n$ が混在する漸化式
(例) $S_n=-2a_n-2n+5$
【$S_n$ 混在型】の解法
この型は,和と一般項の関係から,$a_{n+1}$ と $a_n$ の関係式にする方針で解きましょう。
[1] $a_1=S_1$
[2] $a_{n+1}=S_{n+1}-S_{n}$
補足([2]について)
数列の和Snが与えられているときの一般項a_nの求め方のページでは,和と一般項の関係を次のように書いていました。
[1] $a_1=S_1$
[2] $n≧2$ のとき $a_{n}=S_{n}-S_{n-1}$
[2]が少しだけ違うように見えますが,どちらも「ひとつ手前までの和を引く」という意味の同じ式になっています。式の丸暗記ではなく,しっかり意味で理解していれば何も問題ありませんね。
$a_{n+1}=S_{n+1}-S_{n}$ は $n=1$ のとき $a_2=S_2-S_1$ となり成り立つので,「$n≧2$ のとき」は不要です。
同じ意味の式なので,どちらを使っても問題を解くことは可能ですが,漸化式の問題の場合,$a_{n+1}$ と $a_n$ の関係式が欲しいので,$a_{n+1}=S_{n+1}-S_{n}$ を使って考えます。
【$S_n$ 混在型】漸化式の問題と解説
問題
$S_n=2a_n+2n-3$ が成り立つとき,$\left\{a_n\right\}$ の一般項 $a_n$ を求めよ。
解説(授業)
$S_n=2a_n+2n-3$
和 $S_n$ と一般項 $a_n$が混在しているので,和と一般項の関係から,$a_{n+1}$ と $a_n$ の関係式を作る方針で解きます。
[1] $a_1=S_1$
[2] $a_{n+1}=S_{n+1}-S_{n}$
まず漸化式に $n=1$ を代入し,[1]を利用することで初項 $a_1$ が求まります。
$S_n=2a_n+2n-3$ に $n=1$ を代入すると,
$S_1=2a_1-1$
$a_1=S_1$ より $a_1$ $=2a_1-1$
よって,$a_1=1$
次に[2]を利用することで,
$a_{n+1}$ と $a_n$ の関係式(漸化式)が得られます。
$S_n=2a_n+2n-3$
$S_{n+1}=2a_{n+1}+2(n+1)-3$
$=2a_{n+1}+2n-1$
$a_{n+1}=S_{n+1}-S_{n}$ より
$a_{n+1}$ $=$ $(2a_{n+1}+2n-1)$
$-$ $(2a_n+2n-3)$
$=2a_{n+1}-2a_n+2$
よって,
$a_{n+1}=2a_n-2$
[1]と[2]により,
$a_1=1$,$a_{n+1}=2a_n-2$
が得られました。
あとは,この漸化式から $a_n$ を求めるだけですが,どのパターンかすぐに言えますか?
【特殊解型】です。漸化式最重要パターンですね。
$\alpha=2\alpha-2$ を解くと $\alpha=2$ であるから,
$a_{n+1}-2=2(a_n-2)$ 【等比型】
と変形するんでしたね。
$\left\{a_n-2\right\}$ は,
初項 $a_1-2=-1$,公比 $2$ の等比数列より,
$a_n-2$ $=$ $-1$ $\cdot$ $2^{n-1}$ $=-2^{n-1}$
よって,$-2$ を移項して
$a_n=-2^{n-1}+2$ (答)
解けました。
和と一般項が絡む問題は,とにかく和と一般項の関係を使うのが鉄則です。
使う $2$ 式をしっかり頭に入れておきましょう。ただし,式の丸暗記ではなく意味を理解して覚えてくださいね。
答案
$S_n=2a_n+2n-3$
$n=1$ を代入して $S_1=2a_1-1$
$a_1=S_1$ より $a_1$ $=2a_1-1$
よって,
$a_1=1$
$S_{n+1}=2a_{n+1}+2(n+1)-3$
$=2a_{n+1}+2n-1$ であり,
$a_{n+1}=$ $S_{n+1}$ $-$ $S_n$ より
$a_{n+1}=$ $(2a_{n+1}+2n-1)$
$-$ $(2a_n+2n-3)$
整理して,
$a_{n+1}=2a_{n}-2$ 【特殊解型】
変形して
$a_{n+1}-2=2(a_n-2)$ 【等比型】
[$\alpha=2\alpha-2$ を解くと $\alpha=2$]
よって $\left\{a_n-2\right\}$ は,
初項 $a_1-2=-1$,公比 $2$ の等比数列より,
$a_n-2$ $=$ $-1$ $\cdot$ $2^{n-1}$ $=-2^{n-1}$
よって,
$a_n=-2^{n-1}+2$ (答)
和 $S_n$ と一般項 $a_n$ が混在する漸化式がこれで「解ける!」
【和 $S_n$ 混在型】和 $S_n$ と一般項 $a_n$ が混在する漸化式
[1] $a_1=S_1$
[2] $a_{n+1}=S_{n+1}-S_{n}$