微分による最大値,最小値の求め方

「2次関数」「$○+\displaystyle\frac{\text{定数}}{○}$」「$a\sin\theta +b\cos\theta$」以外の最大値,最小値は微分して,増減表から求める!

基本例題(微分による最大最小)

関数 $f(x)=2x^{3}-3x^{2}-12x+1$ $(-2≦x≦4)$ の最大値と最小値を求めよ。

例題の解答

$f'(x)=6x^{2}-6x-12$
   $=6(x^{2}-x-2)$
   $=6(x+1)(x-2)$
 よって,$f(x)$ の増減表は

増減表

増減表より
$\begin{cases}x=4\text{ のとき 最大値 }33\\x=2\text{ のとき 最小値 }-19 \end{cases}$ (答)

例題の解説

 2次関数ではなく,$○+\displaystyle\frac{\text{定数}}{○}$ とすることもできないので,微分して,増減表から最大値,最小値を求める。

 今回の問題は教科書にあるような素直な問題だが,$f'(x)$ の扱いについて触れておく。$f'(x)$ の符号部分を「具体的に $x$ の値を代入して調べている」という人は要注意!

 $f(x)=2x^{3}-3x^{2}-12x+1$ を微分して因数分解すると

 $f'(x)=6$$(x+1)(x-2)$

となり,符号が変化する部分を抜き出し,$y=(x+1)(x-2)$ のグラフを描く。

導関数の符号を決めるグラフ

 グラフは「形」と「$x$ 軸との共有点」に着目して描こう。今回は 「2次関数だから放物線」「$(x+1)(x-2)=0$ を解いて, $x$ 軸との共有点は $x=-1, 2$」

 このグラフから,増減表の $f'(x)$ の符号を埋める。代入して調べた方がラクと思う人もいるかもしれないが,複雑な値を代入しなくてはならなかったり,そもそも代入する値が分からなかったりする場合がある(数Ⅲ)。

 増減表を書いたら,増減表を見て最大値と最小値を答えるだけ。

グラフ

問題(微分による最大値,最小値)

(1) 関数 $f(x)=x^4-2x^3+x^2+1$ の $0<x≦2$ における最大値,最小値を求めよ。【数学Ⅱ】


(2) 関数 $f(x)=x^2-2x-4\log{(x^2+1)}$ の最小値を求めよ。【数学Ⅲ】

(1) の解答

$f(x)=x^{4}-2x^{3}+x^{2}+1$ $(0<x≦2)$

$f'(x)=4x^{3}-6x^{2}+2x$
   $=2x(2x^{2}-3x+1)$
   $=2x(2x-1)(x-1)$
 よって,$f(x)$ の増減表は

増減表

増減表より

$\begin{cases}x=2\text{ のとき 最大値 }5\\x=1\text{ のとき 最小値 }1 \end{cases}$ (答)

(1) の解説・考え方の根拠

 微分して,増減表から求めるという方針は立つだろう。

 $f'(x)=2x$$(2x-1)(x-1)$

 $x>0$ に注意すれば $f'(x)$ の符号を決めるのは $(2x-1)(x-1)$ の部分。

 $y=(2x-1)(x-1)$ のグラフを描くと

f'(x)の符号のグラフ

このグラフから,増減表の $f'(x)$ の符号を埋める。(代入して調べようとすると,$\displaystyle\frac{1}{2}$ と $1$ の間の値を代入することになるので面倒。)

 増減表さえかければ,最大値と最小値はすぐ求まる。$x=0$ は定義域に入っていないため,「$x=0, 1\text{ のとき 最小値 }1$」と書かないように注意。

(2) の解答

$f(x)=x^{2}-2x-4\log_{}{(x^{2}+1)}$

$f'(x)=2x-2-4\cdot\displaystyle\frac{2x}{x^{2}+1}$

$=\displaystyle\frac{2x(x^{2}+1)}{x^{2}+1}+\displaystyle\frac{-2(x^{2}+1)}{x^{2}+1}+\displaystyle\frac{-8x}{x^{2}+1}$

$=\displaystyle\frac{2x^{3}-2x^{2}-6x-2}{x^{2}+1}$

$=\displaystyle\frac{2(x^{3}-x^{2}-3x-1)}{x^{2}+1}$

$=\displaystyle\frac{2(x+1)(x^{2}-2x-1)}{x^{2}+1}$

よって,$f'(x)=0\text{ のとき }x=-1,1\pm\sqrt{2}$ より $f(x)$ の増減表は

増減表

ここで,
$f(-1)=3-4\log_{}{2}$
$f(1+\sqrt{2})=1-4\log_{}{(4+2\sqrt{2})}$

よって,
$f(-1)$ $>$ $f(1+\sqrt{2})$ であるから,

$x=1+\sqrt{2}$ のとき
最小値 $1-4\log_{}{(4+2\sqrt{2})}$ (答)

(2) の解説・考え方の根拠

 これも微分して,増減表から求めるという方針は立つだろう。

 まず,$f'(x)=\displaystyle\frac{2(x+1)(x^{2}-2x-1)}{x^{2}+1}$ まで計算できるだろうか。

$f(x)=x^2-2x-4\log{(x^2+1)}$

微分して

$f'(x)=2x-2-4\cdot\displaystyle\frac{2x}{x^{2}+1}$

$\left[\left\{\log_{}{f(x)}\right\}’=\displaystyle\frac{f'(x)}{f(x)}\right]$

 分数が混じっている場合は通分して 1 つにまとめるのが鉄則。通分して計算すると,

$$f'(x)=\displaystyle\frac{2x^{3}-2x^{2}-6x-2}{x^{2}+1}$$

 $f'(x)$ の符号,$f'(x)=0$ のときの $x$ の値が必要なので,分子を因数分解する。まず,共通因数の $2$ でくくり

$$f'(x)=\displaystyle\frac{2(x^{3}-x^{2}-3x-1)}{x^{2}+1}$$

 $x^{3}-x^{2}-3x-1$ の部分は $3$ 次式なので,因数定理を用いて因数分解する。$x=-1$ を代入すると $0$ になるので,$(x+1)$ を因数にもつ。これより,

$$f'(x)=\displaystyle\frac{2(x+1)(x^{2}-2x-1)}{x^{2}+1}$$

 計算を終えたら,符号に注目する。$x^{2}+1>0$ であるから $f'(x)$ の符号を決めるのは $(x+1)(x^{2}-2x-1)$ の部分。$y=(x+1)(x^{2}-2x-1)$ のグラフを描くと

f'(x)の符号のグラフ

 このグラフから,増減表の $f'(x)$ の符号を埋め,増減表を作成する。

増減表

 さて,今回求めるのは最小値であるが,$f(-1)$,$f(1-\sqrt{2})$,$f(1+\sqrt{2})$ のうち,最小値となり得るものを考える。何も考えず,すべて計算してはならない。増減表から $f(1-\sqrt{2})$ が最小値となることは絶対にない(増加したあとの点であるため)。$f(-1)$ と $f(1+\sqrt{2})$ の大小関係は増減からは分からないので,実際に計算して比較する。小さい方が最小値

$f(-1)=3-4\log_{}{2}$
$f(1+\sqrt{2})=1-4\log_{}{(4+2\sqrt{2})}$

 $f(-1)$ $-$ $f(1+\sqrt{2})$

 $=$ $3-4\log_{}{2}$$-$$\left\{1-4\log_{}{(4+2\sqrt{2})}\right\}$

 $=2-4\left\{\log_{}{2}-\log_{}{(4+2\sqrt{2})}\right\}$

 $=2+4\left\{\log_{}{(4+2\sqrt{2})}-\log_{}{2}\right\}$

 $=2+4\log_{}{(2+\sqrt{2})}$

$\left[\log_{a}{M}-\log_{a}{N}=\log_{a}{\displaystyle\frac{M}{N}}\right]$

  $>0$

$\left[\log_{}{(2+\sqrt{2})}>\log_{}{1}=0\text{ より}\right]$

よって $f(-1)$ $-$ $f(1+\sqrt{2})$ $>$ $0$
すなわち $f(-1)$ $>$ $f(1+\sqrt{2})$
ゆえに 最小値は $f(1+\sqrt{2})$

これで「解ける」へ!

複雑な関数の最大値,最小値は微分して、増減表から求める。

$f'(x)$ の符号を決定する部分を抜き出してグラフを描く!

 

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