三角関数の合成(公式)
ただし,
$\displaystyle\cos\alpha=\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}},\sin\alpha=\displaystyle\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}$
合成の手順
問題(合成による最大値,最小値)
(1) $\sin{x}+\sqrt{3}\cos{x}$ $(0≦x≦\pi)$
(2) $4\sin{x}+3\cos{x}$ $\left(0≦x≦\displaystyle\frac{\pi}{2}\right)$
(1) の解答
$\sin x+\sqrt{3}\cos x$ $(0≦x≦\pi)$
$\sin x+\sqrt{3}\cos x=2\sin \left(x+\displaystyle\frac{\pi}{3}\right)$ [合成]
$\displaystyle\frac{\pi}{3}≦x+\displaystyle\frac{\pi}{3}≦\displaystyle\frac{4}{3}\pi$ より
$-\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}$ $≦\sin \left(x+\displaystyle\frac{\pi}{3}\right)≦$ $1$
よって
$-\sqrt{3}$ $≦2\sin \left(x+\displaystyle\frac{\pi}{3}\right)≦$ $2$
$\begin{cases}x+\displaystyle\frac{\pi}{3}=\frac{\pi}{2}\\ \text{すなわち } x=\displaystyle\frac{\pi}{6}\text{ のとき最大値 }2\\ \\x+\displaystyle\frac{\pi}{3}=\displaystyle\frac{4}{3}\pi\\ \text{すなわち }x=\pi \text{ のとき最小値 }-\sqrt{3} \end{cases}$
(1) の解説・考え方の根拠
$a\sin x+b\cos x$ はまず合成。図を描きながら,素早く正確に合成できるようにしよう。
合成をすれば $\sin \left(x+\displaystyle\frac{\pi}{3}\right)$ の値の範囲を求める問題に帰着する。角の範囲に注意して,解答のように単位円を図示して求める。
(2) の解答
$4\sin{x}+3\cos{x}$ $\left(0≦x≦\displaystyle\frac{\pi}{2}\right)$
$4\sin x+3\cos x=5\sin (x+\alpha)$ [合成]
ただし,$\cos\alpha=\displaystyle\frac{4}{5},\sin\alpha=\displaystyle\frac{3}{5}$
ここで,$\alpha$ は第 1 象限の角であり,
$\displaystyle\frac{3}{5}$ $<$ $\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{2}$ より $\sin\alpha$ $<$ $\sin \displaystyle\frac{\pi}{4}$
よって $0<$ $\alpha$ $<$ $\displaystyle\frac{\pi}{4}$ である。
したがって $\alpha ≦x+\alpha ≦\alpha+\displaystyle\frac{\pi}{2}$ のとき
$\sin \alpha$ $≦\sin (x+\alpha)≦$ $1$
$\sin\alpha=\displaystyle\frac{3}{5}$ より
$\displaystyle\frac{3}{5}$ $\text{≦}\sin (x+\alpha)\text{≦}$ $1$
よって
$3$ $\text{≦}5\sin (x+\alpha)\text{≦}$ $5$
$\begin{cases}x+\alpha=\displaystyle\frac{\pi}{2}\\ \text{すなわち }x=\displaystyle\frac{\pi}{2}-\alpha \text{ のとき最大値 }5\\ \\x+\alpha=\alpha\\ \text{すなわち }x=0 \text{ のとき最小値 }3 \end{cases}$
(2) の解説・考え方の根拠
合成するが,有名角でない角が現れる。分からないので角を $\alpha$ としておき,$\cos\alpha,\sin\alpha$ の値を記述しておく。角が分からなくても $\cos\alpha,\sin\alpha$ の値を用いることにより問題が解けるパターンは多いので,「分からない角は $\alpha$ とおいて $\cos\alpha,\sin\alpha$ の値を用いる」を知識として入れておこう。
最大値,最小値を求める流れは (1) と同じであるが,$\alpha$ が分からないため問題が生じる。
$\alpha ≦x+\alpha ≦\alpha+\displaystyle\frac{\pi}{2}$ における $\sin (x+\alpha)$ の範囲を調べるが,$\alpha$ の動径のかき方によって,最小値が $\sin \alpha$ だったり,$\sin \left(\alpha+\displaystyle\frac{\pi}{2}\right)$ だったりする。(下の図参照)
結局,$\alpha$ と $\displaystyle\frac{\pi}{4}$ の大小関係を調べることになる。しかし,$\alpha$ そのままで比較することはできないので,サイン(またはコサイン)の値で比較する。
$\sin\alpha=\displaystyle\frac{3}{5}=\displaystyle\frac{6}{10}=\displaystyle\frac{\sqrt{36}}{10}$
$\sin \displaystyle\frac{\pi}{4}=\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{2}=\displaystyle\frac{5\sqrt{2}}{10}=\displaystyle\frac{\sqrt{50}}{10}$
(大小比較ができるように分母を $10$ にそろえた)
よって
$\sin\alpha$ $<$ $\sin \displaystyle\frac{\pi}{4}$
[$\alpha$ の方が $y$ 座標が小さい(下側)]
すなわち
$0<$ $\alpha$$<$ $\displaystyle\frac{\pi}{4}$
を得て,さっきの図において,左側の図の位置関係であることが判明する。
$x+\alpha=\displaystyle\frac{\pi}{2}$ のとき最大
$x+\alpha=\alpha$ のとき最小
となることが分かる。
これで「解ける」へ!
$a\sin \theta+b\cos \theta$ は合成する!
分からない角は $\alpha$ とおいて,$\cos\alpha,\sin\alpha$ の値を用いる!