【入試問題】$a^x+a^{-x}=t$ とおく最大値,最小値を求める問題

1変数の最大値,最小値は基本方針4パターン
[1] 2次関数なら平方完成してグラフ!
[2] $○+\displaystyle\frac{ 定数 }{ ○ }$ なら
  $(相加平均)\text{≧}(相乗平均)$

[3] $a\sin \theta+b\cos \theta$ なら合成!
[4] その他は微分して増減表!
を常に意識する!

問題(早稲田大学)

関数f(x)=2^x+2^{-x}はx=(ア)のとき,最小値(イ)となる。また,関数g(x)=8^x+8^{-x}-4(4^x+4^{-x})はx=-1+log_{2}{((ウ)+-√(エ))のとき,最小値(オ)をとる。
早稲田大学

解答

$2^x>0,2^{-x}>0$ であるから,$(相加平均)\text{≧}(相乗平均)$ より

$2^x+2^{-x}\text{≧}2\sqrt{2^x・2^{-x}}$$=2$

等号は $2^x=2^{-x}$ すなわち $x=0$ のとき成り立つ

よって,$f(x)$ は $x=0$ のとき,最小値 $2$ (答アイ)

$2^x+2^{-x}=t$ とおく。

$4^x+4^{-x}=(2^x+2^{-x})^{2}-2$

 [$x^2+y^2=(x+y)^2-2xy$]

よって,$4^x+4^{-x}=t^{2}-2$

$8^x+8^{-x}=(2^x+2^{-x})^{3}-3(3^x+3^{-x})$

 [$x^3+y^3=(x+y)^3-3xy(x+y)$]

よって,$8^x+8^{-x}=t^{3}-3t$

したがって,

$g(x)=$$8^x+8^{-x}$$-4$($4^x+4^{-x}$) を $t$ で表すと

$g(x)=($$t^{3}-3t$$)-4($$t^{2}-2$$)$

この $t$ の関数を $h(t)$ とおいて整理すると

 $h(t)=t^3-4t^2-3t+8$ $(t\text{≧}2)$ [$t$ の3次関数]

 $h'(t)=3t^2-8t-3$

    $=(3t+1)(t-3)$

 $t\text{≧}2 より h'(t)=0 のとき t=3$

 これより,$h(t)$ の $t\text{≧}2$ における増減表は

増減表

よって,$t=3$ のとき最小値 $-10$ をとる。

$t=3$ のとき,$2^x+2^{-x}=3$

これを解いて $x=-1+\log_{2}{(3\pm\sqrt{5})}$

以上より,$g(x)$ は

$x=-1+\log_{2}{(3\pm\sqrt{5})}$ (答ウエ)

のとき最小値 $-10$ (答)

解説・考え方の根拠

 標準的な典型問題である。いくつかポイントがあるので確認していく。

 まず,$2^x+2^{-x}$ の最小値を求めるとき,$(相加平均)\text{≧}(相乗平均)$ を迷わず選択できるだろうか。

$○+\displaystyle\frac{ 定数 }{ ○ }$ の最大値,最小値は$(相加平均)\text{≧}(相乗平均)$

$2^x+2^{-x}=$ $2^x+\frac{1}{2^{x}} (=○+\frac{定数}{○})$

であることから,$(相加平均)\text{≧}(相乗平均)$ 一択だろう。

$f(x)$ は $g(x)$ の最小値を求めるための誘導となっている。$g(x)$ は $2^x+2^{-x}=t$ とおいて,$t$ の関数として考えれば良いことには誘導がなくても気づきたい。もちろん,$t\text{≧}2$ も誘導なしで求めたい。

$g(x)=$$8^x+8^{-x}$$-4$($4^x+4^{-x}$) を $t$ で表すために,$4^x+4^{-x}$$8^x+8^{-x}$ を $t$ で表すことを考える。今回使った対称式の変形

$x^2+y^2=(x+y)^2-2xy$

$x^3+y^3=(x+y)^3-3xy(x+y)$

は,確実に暗記しておきたい。$t^2$ と $t^3$ を計算してもよい。

$t^2=(2^x+2^{-x})^2=4^x+4^{-x}+2$

よって $4^x+4^{-x}=t^2-2$

$t^3=(2^x+2^{-x})^3$

 $=8^x+3・2^x+3・2^{-x}+8^{-x}$

 $=8^x+8^{-x}+3(2^x+2^{-x})$

 $=8^x+8^{-x}+3t$

よって $8^x+8^{-x}=t^3-3t$

今回は $t$ の3次関数なので微分して,増減表から最小値を求める。

「2次関数」「$○+\displaystyle\frac{定数}{○}$」「$a\sin\theta +b\cos\theta$」以外の最大値,最小値は微分して,増減表から求める!

$h'(t)=(3t+1)$$(t-3)$

$3t+1>0$ であるため,$h'(t)$ の符号を決めるのは $t-3$ である。ここまで単純であればグラフを描くまでもないが,グラフから考えるのが基本であるため描いておく。

符号のグラフ

増減表から,最小値はすぐに求まる。最小値をとるときの $x$ すなわち $t=3$ のときの $x$ が必要なので求める。求めるときの式を記しておく。

$2^x+2^{-x}=3$

$2^x=u$ とおくと $u+\frac{1}{u}=3$

$u^2-3u+1=0$

$u=\displaystyle\frac{3\pm\sqrt{5}}{2}$ [解の公式]

$2^x=\displaystyle\frac{3\pm\sqrt{5}}{2}$

$x=\log_{2}{\frac{3\pm\sqrt{5}}{2}}$ $[a^p=M\iff p=\log_{a}{M}]$

$x=\log_{2}{(3\pm\sqrt{5})}-\log_{2}{2}$

$x=\log_{2}{(3\pm\sqrt{5})}-1$

これで「解ける」へ!

$a^x+a^{-x}=t$ とおいて $t$ の関数とせよ。

$(相加平均)\text{≧}(相乗平均)$ により定義域 ( $t$ の範囲)を求めよ。

 

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