数学の勉強方法(数学の力が伸びない、数学の力を伸ばしたい人へ)

どんな小さなことでも
「なぜ?」を放置しない!

すべての変形、方針の

「根拠」を明確にせよ!

意識を変えれば“景色”が変わる。

この記事の信憑性(筆者の実績)
  • 2023年度入試において、数学を指導した受験生全員が医学部医学科に合格!
  • 数学の偏差値50台から京都府立医科大学合格!
  • 数学の偏差値30台から大阪歯科大学合格! など

実際に数学の力が伸びた実績のある方法を伝授します!

数学の問題を解けるようになるために必要なこと

 本題に入る前に、前提として、数学の問題を解けるようになるために必要なことを確認しておきます。

定義と公式を覚える(理解する)

 数学の問題を解く上で定義や公式はどうしても必要になるので、教科書にあるような公式はすべて暗記必須です。問題を解く際「公式なんだっけ…あ、思い出した」もダメです。瞬時に言えるようにしてください。理想は、公式をすべて書き出せる状態です。例えば「三角比の分野の公式をすべて述べよ」に対して「相互関係、正弦定理、余弦定理、三角形の面積公式」をすべて答えられることです。ただ、これは少しハードルが高いので「正弦定理は?」などと聞かれてそれが答えられればひとまずはOKです。
 加えて言うと、公式は「暗記のみ」で良いものと「暗記した上で理解するもの」や「暗記した上で証明できるようにするもの」があります。これは、数学をどこまで伸ばしたいかによって話は変わってきます。それについては、別の記事で触れます。数学を武器にしたい、数学の入試問題が難しい大学を志望しているという人は、証明までできた方が良いでしょう。

定石(典型問題の解法)を身に付ける

 公式を覚えたら、次は定石の習得です。
・2次関数の最大最小は”平方完成”
・自然数について成り立つことの証明は”数学的帰納法”
・「$1\pm\cos x$」は”半角の公式”

といった、いわゆる問題のパターン化です。こういった定石を初見で発見するのは困難なので「こういうときはこうする」といった定石を身に付けておくことが必要です。
 どこまで定石として身に付けるかについては、目標によるでしょう。

目標押さえる定石(参考)
難関大学志望
受験で数学を武器に
青チャートの
応用例題まで
国公立志望
数学で負けない程度に
黄チャートの
応用例題まで
定期考査でそれなりに黄チャートの
基本例題まで

が目安でしょうか。ただ、どこまでやるかは個々によって違うので一概に言えません。志望校のレベル、志望校の数学の問題のレベル、自分の数学のレベル、自分の数学以外のレベルなど、様々な要素によって決まります。迷ったら黄チャートが無難でしょう。

数学の問題を解けるようになるための学習法

 それでは、本題です。実際にどのように学習するのが良いのか触れていきます。

定義、公式、定石(典型問題の解法)を習得

<使用教材例(参考)>

目的教材例(参考)
①定義、公式の定着教科書
教科書傍用問題集 など
②定石の定着黄チャート(の例題、応用例題)
基礎問題精講 など
※リンク先は数学Ⅲの教材です。2025年度入試から新学習指導要領(新課程)による入試が始まります。
※数学に自信がある場合は青チャートでも可。ただし、身の危険を感じたら早めに黄チャートへ移行すること。

まずは準備です。
①公式を使うだけで解ける問題
②典型問題
を通して、とにかく公式に触れまくってください。飽きるくらいです。「公式が必要になった際、その公式を瞬時(1秒以内)に答えられる」くらいです。典型問題の解法も「問題を見て3秒以内(遅くとも10秒以内)で方針が答えられる」くらいにしましょう。
 あまり楽しくない作業ですが、公式や典型問題について「なんだっけ…」の状態で次に進んでも、あまり効果的とは言えません。次のステップに進むタイミングの目安は、使用教材のおおよそ7割以上を仕上げたあたりです。

応用問題で実践的な力を身に付ける(1番伝えたいこと)

<使用教材例(参考)>

目的教材例(参考)
定石の定着
定石から考える練習
黄チャート(のExercise)
チョイス(河合塾シリーズ)
医学部攻略の数学(河合塾シリーズ) など
※リンク先は数学Ⅲの教材です。2025年度入試から新学習指導要領(新課程)による入試が始まります。
※数学に自信がある場合は青チャートでも可。ただし、身の危険を感じたら早めに黄チャートへ移行すること。

ここからが1番伝えたいことです!

 入試の基本~標準レベルの問題を、自力で解く練習をします。目的は「定石の定着(と補充)」「定石をもとにして答案を作り上げる実践的な力の養成」です。そして、ここでの取り組み方が数学の力に大きく影響します。まず、改めて結論を言うと…

数学の学習大原則!
  • どんな小さなことでも「なぜ?」を放置しない!
  • すべての変形、方針の「根拠」を明確にせよ!

 具体的に問題を見ながら説明します。(未学習の分野でも言いたいことは伝わると思います)

この問題の解答はこちら

<ダメな例1(解答暗記に走る)>
もやや「んー、わからん!解答見ちゃおう!」
もやや「ふむふむ…なるほど分からん!よく分からないけど覚えておこう!」
もやや「覚えた!しかも、何も見ずに書けた!完璧!余裕ですな」
(一週間後)
もやや「?…(2) では(相加平均)$≧$(相乗平均)使った気がするんだけど…」
もやや(解答チラ見)
もやや「…あ!そうそう!なんか知らんけど $x$ 軸とのなす角を文字でおいて進めるんだった!思い出した!」
もやや「はい、できた!!」

 解答暗記は最もやってはいけないことです。解き直しのとき、部分的に覚えていたり、少し見たら前後の記憶が蘇ったりする状態がこれです。かなり多いです。定期考査では何とかなる可能性あるけど…やめましょう!

<ダメな例2(答え合ってたからヨシ!)>
もやや「ほう…なかなか興味深い問題ですなぁ…」
もやや「…わからん!いろいろ試すか!」
もやや「2 点間の距離?直線BCの方程式?…うーん…」
(1時間後)
もやや「なんか、なす角を文字でおいてみたら(1)いけた!」
もやや「(2)は最大値か…こんな式、初めて見たなぁ…」
もやや「因数分解?おきかえ?…うーん…」
(1時間後)
もやや「なんかよくわからないけど、(相加平均)$≧$(相乗平均)使ってみたら答え合った!ヨシ!」

 「合ってたからいいや」も多いですね。いろいろ試した結果上手くいったこと自体は悪くないでしょう。いろいろ試す中で、いろんな公式の記憶の定着に繋がります。ただ、それで満足していたら、準備(定義、公式の習得)でやったこと止まりですね。この問題を演習した意味がありません。

 ダメな例の共通していることは「なぜ」を無視していることです。1つ目の解答暗記は、疑問をすべて丸投げしています。2つ目でも「なぜこれで解けたのか」を無視していますね。では、実際にはどのように取り組むべきなのか見てみましょう。

<良い例1(解けなかった場合)>
Aさん「分からないから解答見よう…」
Aさん「え~、なんで、なす角を文字でおいてるの?
Aさん(似た問題振り返り…)
Aさん「あー、そうか『直線のなす角は $\tan =(\text{傾き})$』を使うんだった!たしかに、なす角の設定が必要だね!」
Aさん「(2)…え、なんでいきなりこんな変形してるの?
Aさん(最大,最小問題について振り返り…)
Aさん「あー、最大最小問題は「平方完成」「合成」「(相加平均)$≧$(相乗平均)」「微分」のどれかで考えるんだった。確かにこの中なら(相加平均)$≧$(相乗平均)かなぁ」
Aさん「直線のなす角と(相加平均)$≧$(相乗平均)の最大最小の問題だったのかぁ、どちらも抜けちゃってたなぁ。復習しておかないと。」

 解答において、(1)で「なす角を文字でおいている」ことに疑問をもち、理由を追求しています。定石として学んだ「直線のなす角」の話が根拠であると判明させて進められています。
 (2)では「最大値,最小値」に関する定石を根拠にしていることを確認しています。
 最大値、最小値の問題に関しては 最大値,最小値(1変数)で紹介しています。

<良い例2(解けた場合)>
Bくん「(1)は直線のなす角の話だから「$\tan =(\text{傾き})$」を利用するのが定石だったな。直線と $x$ 軸のなす角を文字でおいて進めるか」
Bくん「…よし、(1)はいけた。(2)は最大値の問題か。さてこの式どうしようか。解法の選択肢は4つあるけど、2次関数じゃないから平方完成は違うな。合成もさすがにないな。分数だし(相加平均)$≧$(相乗平均)は可能性あるな。とりあえず、(相加平均)$≧$(相乗平均)使う方針で進めてみるか。ダメなら微分しよう。」
Bくん「(相加平均)$≧$(相乗平均)でいけそう…いけた!」
Bくん「解答は…同じ方針か。『直線のなす角』と『(相加平均)$≧$(相乗平均)の最大最小』の問題だったな。」

 何かを試すとき、知っている定石を根拠に進めています。その結果、正しい解法を選択し正答にたどり着けました。
 文字の設定や変形は、必ず根拠や目的があります。自分で解き進めているとき、「なぜその変形をしたのか」説明できないときはありませんか?常に、その根拠を明確にする意識をもちましょう。

(参考)今回の問題の正しい思考(イメージ)

 入試の基本~標準レベルの問題は、定石を考えて進めれば解ける問題がほとんどです。解けないのは必要な定石が抜けている状態です。
 解けなかった問題の解答を見て「なぜ」を明確にすることで「抜けている定石(または新しい定石)の確認」ができます。
 変形や方針の「根拠」を明確にしながら解くことで「定石をもとに答案を作り上げる力の養成」ができます。
 これを実践すれば、数学の力は着実に伸びていき、きっと「景色(問題の見え方)」が変わるでしょう。

自力で解決できないとき

・「なぜ」を放置しない
・「根拠」を明確にする

 これらは、簡単にできることではないでしょう。実際、毎週、私が生徒に対し授業という形で伝え続けたことによって、実を結んだものです。それでも、意識1つ変えるだけで、大きく成長できるはずです。また、押さえておくべき定石については、知っていると差がつく定石で記事にしていくので,参考にしてもらえればと思います。
 とはいえ、どうしても解決できない場合もあるでしょう。
・解答を見て「なぜこの解法なの?」「なぜこの変形するの?」
・「この問題のどの部分が定石なの?」

 考えても分からないときは学校や塾(通っているなら)の先生など、信頼できる人に質問しましょう。今の時代であれば調べて解決することも可能かもしれません。ただ、調べた先によっては間違った解釈をしてしまう可能性もあるので注意が必要です。できれば複数のページから信頼できそうなものを選択しましょう。

 ちなみに、京都府立医科大学に合格した生徒は、自習で疑問が生じたとき、次のような質問をよくしてくれていました。(こういう疑問をもつことが重要ということです)

・解答の解き方は、どういう発想からきているのですか?
・解答の解き方は、定石として覚えた方が良いですか?
・自分の答案の方針で答えが出ないのはなぜですか?
・解答と解き方が違いますが問題ないですか?解答の解き方も大事ですか?

 聞ける人がいなくて困っているのであれば、私に質問してくれても構いません。Twitterまたはメールでご連絡ください(Twitterの方がベター)。もちろん質問の回答以外でこちらから連絡することは一切ないのでご安心ください(笑)、ただ、こちらの状況にもよりますが、回答まで時間がかかる場合もありますので、それだけはご了承ください。

最後に

 長々と話してきましたが、最も大事にして欲しいことはどんな小さなことでも「なぜ」の意識をもち、それを解決することです。まあいいかで済ませていると、その「なぜ」の蓄積により、疑問まみれになっていきます。
 それでは最後に1つ疑問を投げかけて終わりにします。

証明問題において”対偶法” “背理法” “数学的帰納法” を使うときがあるけど、どれを使うかってどうやって判断するの?

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