2023年度神戸大学(理系、前期)数学 問題・解答
・問題(pdf:671KB)
・神戸大学 数学 解答速報(pdf:3MB)
2023年度神戸大学(理系、前期)数学 所感
大問1 数列「数学的帰納法」など
(1)簡単。グラフを描いてみれば明らか。
(2)自然数について成り立つことの証明なので数学的帰納法。普通に進めていけば詰まることなく証明できる。
(3) $a≦1$ のときは (2) の結果を用いて漸化式が作成できる。$a>1$ のときも同様に考えられることは予想できるだろう。完答したい。
大問2 2次関数「解の配置」
(1)2 次方程式の「解の配置」の典型問題。解の配置の問題は「軸」「頂点」「端点」の位置に着目して不等式を立てる(「頂点」は「判別式」でも可)。
(2)実部の話になるが,実数解のときはその実数解が実部となるので同様に進めればよい。虚数解のときは実部を抜き出して考えればよい。特に難しい部分はない。
(3) (2) ができれば,同じ手順で解ける。不等式はやや複雑になるので図示するときは慎重に。ここも完答したい。
大問3 確率「和が偶数,和が〇以上」
(1) 2 数の和が偶数となるのは
「$\text{偶数}+\text{偶数}$」または「$\text{奇数}+\text{奇数}$」
の 2 パターンである。よくある典型問題なので迷わず解きたい。
(2) 3 数の和が偶数となるのは
「$\text{偶数}+\text{偶数}+\text{偶数}$」または「$\text{偶数}+\text{奇数}+\text{奇数}$」
の 2 パターンである。基本的には (2) と同様だが,$n=2$ のときは,偶数と奇数がそれぞれ 2 枚しかないため,「$\text{偶数}+\text{偶数}+\text{偶数}$」となることはない。よって,場合分けが必要になる。結局,同じ確率となるが,分けて考えないと減点されるだろう。
(3)ここは少し厄介である。不等式の整数解の個数に帰着する。不等式の整数解の個数は主に 3 通りの考え方がある。
[1] 「方程式の整数解」に帰着させる
[2]「格子点」に帰着させる
[3] 数える
である。なんのことか分からない場合は「方程式の整数解」「不等式の整数解」について確認しておいて欲しい。(ここで説明すると脱線するので)
[1]の方針で解ける場合はこれが最も簡単であるが,うまくいかないので[2]の方針で格子点と見て求めた。ちなみに,解答では余事象をとったがそのまま求めることも可能。ただし,領域が複雑になるので余事象で考えた方がベター。格子点は「$x=k$ または $y=k$ 上の格子点の個数を考えて $∑$ に入れる」のが基本である。怪しい人はこれを機に確認しておこう。
大問4 四面体とベクトル
(1)必要な情報は与えらているので,ベクトルの大きさとして計算すればよい。簡単。
(2)ベクトルと平面の垂直条件を用いてばただの計算問題。計算を頑張るだけ。
(3) (2) で $\overrightarrow{\text{OH}}$ について考えたので,△ABC を底面と見て求めればよい。ここも計算を頑張るだけ。ただし,(2) で $\overrightarrow{\text{AB}}・\overrightarrow{\text{AC}}=0$ から 直角の存在には意識を向けられるように。
●別解について(最重要)
むしろ別解について考えるのが重要だろう。別解を見て「気づかない」と思った人は要注意である。四面体を考える上で必ずチェックすべきことがある。
・直角がないか
・等脚四面体かどうか
・対称面(三角形)が存在しないか
・等面四面体かどうか
やはり詳しく説明すると脱線するので,簡単な説明のみで済ませるが,
・「等脚四面体(3辺の長さが等しい四面体)」であれば,垂線の足が三角形の外心となる。
・「対称面が存在する」場合,その三角形を底面とする 2 つの四面体に分割する。
・「等面四面体(4つの三角形がすべて合同)」であれば,直方体に埋め込む。
意識した上で見れば,△OAM に関して対称であることに気付ける。このときの解法は別解に記した通りである。
今回は誘導があったので無駄な計算をさせられたが,体積を求めるだけであれば $\overrightarrow{\text{OH}}$ が不要であることに気付くだろうか。(2) がなかったのであれば,どちらの解法が良いかは明らかだろう。
大問5 媒介変数,微積分(数学Ⅲ)
(1)媒介変数表示の微分法。特に難しくないだろう。ちなみに媒介変数表示の場合の第 2 次導関数については大丈夫だろうか。神戸大が,以前出題したことのある話である。(ここでは省略)
(2)増減表からグラフを描くだけである。解答では両端における導関数の極限を求めた。これは、その点における接線の傾きを求めている。今回でいうと,原点付近の形(①原点からどのくらいの傾きで↗に移動しているか,②原点に向かってどのくらいの傾きで↖に移動しているか)を調べていることになる。ここまで調べる必要があるかどうかは不明だが,「概形をかけ」の場合は調べておいた方が無難。今回は省略したが,凹凸も調べた方が無難かもしれない。(第 2 次導関数が必要)
(3)ただの計算問題である。やや複雑な三角関数の式となるが基本通り「次数下げ」していけばよい。